就職活動で自殺を考えたという記事を読んで

Yahooニュースで「就職活動している学生の20%は自殺を考えた」という
非常にショッキングな記事が掲載されていました。

この記事を読んで、以前私が大学でキャリア面談をしていた時に、
少々自殺をほのめかす学生がいたことを思い出しました。


その学生は非常にまじめで優秀な学生で、親やゼミの先生の期待に
応えるべく一流有名企業への就職活動をしていました。

私は「そんな活動をしてもうまくいかないよ」と言っていましたが、
彼は「自分のやりたいようにしたい」という意思表示を常にしていました。

しかし、いくら優秀でも生半可な志望動機では、有名企業に入ることは

できません。いくら繕っても企業が納得する志望動機では当然ないからです。
友人が続々と内定をとる中で、彼だけはことごとく玉砕して
いつまでも内定をとれずにいました。

そして、ある日面談をしていた時にポロッと「就職活動がうまくいかなくて

自殺したり、自殺を考える学生もいますよね」と言いました。

果たして自分もそう思っているのかは知りませんが、就職活動がうまく

いかないジレンマを精一杯表現したんだと思いました。

しかも、結構、彼のように自分自身の人生を考えた就職活動ではなく、
親の期待や大学のゼミの先生の期待に応えようとする学生も多く、
同じような気持ちになるのではないか、と思いました。

私は「何言ってるの。本来の就職活動をしていないのだから(当然の
結果でしょう)。それよりも、実は就職してからの方がうまくいかなくて
100倍自殺したいと思う時がある。しかし、就職してからの方が仕事を通して
色々な経験をするので1,000倍も面白い人生があるんだよ」
という話をしました。

若いと人生を長期的にとらえなくて、「今しんどい、苦しい」ことしか
見えません。しかも、けっして就職活動の結果で人生が決まる訳ではあり
ませんし、人生は会社に入ってからの方が波瀾万丈の連続なのです。
だから人生って面白いのです。

実は、私も就職では苦労し、自殺を考えるまではありませんでしたが、
「この先、人生どうなってしまうのだろう」という不安はありました。

しかし、紆余曲折があったにせよ何とかなっています。当時を振り返っても
「当時は何で悩んでいたんだろう」という印象です。

きっと人生長く生きていると、次から次へと悩みが降りかかって、
いちいち過去のことなど思い出す余裕がないからだとも思います。

ただ、目先のことに悩むよりも、もっと先のキャリアや人生ことを考えて
悩むようにはなったと思います。

私の持論である「有名会社に入ることが本質的な就職活動の目的ではない。人生を通してどのような社会に役に立つキャリアを築いていきたいのかが重要である。
会社とは君と社会を結ぶ機能でしかなく、人生を通してキャリアを構築していく手段でしかない。そして、生きていく選択肢は実は、もっとたくさんある。
しかも、現時点で有名企業でもこの先はどうなるのか分からない。もっと自分の人生を考えた就職活動をしてはどうか」という話を彼にはしました。


彼もようやく吹っ切れて、有名企業にこだわらず、企業の理念や企業文化に
賛同できて、自分の特性が活かせる企業に就職し、今はバリバリ活躍しています。

大学は有名企業に何人の学生を入れたかが評価(高校生を呼び込む戦略)
となりますが、盲目的に企業規模や名前で企業を選ぶのではなく、

自分が働く上での価値観や企業文化で選ぶ事が肝要です。

そして、もっと長期的なスタンスで企業を選ぶことが重要です。
これについては、またニュースレターやブログ等で説明したいと思います。